SomaScanᵀᴹ Assayを用いた長期保存血清サンプルの評価と日本人高齢者における性差解析

Beppo R et al. Sci Rep. 2025 Aug 14;15(1):29849. doi: 10.1038/s41598-025-14464-4. 

研究の背景と目的 

バイオバンクに保存される血清は、長期保存により標的タンパク質が変性する恐れがあります。本研究では、16年間凍結保存された血清がSomaScanᵀᴹ Assayによる解析に利用できるかを検証し、得られたプロテオミクスデータを用いて日本人高齢者における性差を探索しました。 

研究方法 

2007年のKINGスタディ(Kita-Nagoya Genomic Epidemiology study [NCT00262691])から50歳以上の男女各20人(計40人)の血清(-80℃で約16年保存)を用い、SomaScanᵀᴹ Assayで測定しました。まず、過去に免疫測定で得られたアディポネクチン(血清)とレジスチン(血漿)の測定値とSomaScanᵀᴹ Assayの結果の相関を確認しました。 

また、得られたプロテオミクスデータを用いて日本人高齢者における性差を探索するため、7,289種のタンパク質について、年齢を調整したうえで男女差を解析しました。 

結果 

アディポネクチンは過去の免疫測定と極めて高い相関(rs=0.920)を示し、レジスチンも高い相関(rs=0.713)が確認されました。 

続く網羅解析では、7,289種中20種で有意な男女差が認められ(男性で高い9種、女性で高い11種)、特に女性で2倍超高かったのは、FSH/LH/hCGに相当する「α鎖とβ鎖が結合した性腺刺激ホルモンの生理活性型(ヘテロ二量体)」(CGA|FSHB、CGA|LHB、CGA|CGB3|CGB7)でした。一方、βサブユニット単独を認識する測定では差が出ない項目もありました。男性で高めの代表例はDEFB104A、MMP3、PSA/KLK3でした。 

考察 

約16年凍結保存した血清でも、アディポネクチンとレジスチンは過去測定とよく一致したことから、バイオバンク試料をSomaScanᵀᴹ Assayで解析できる可能性が示されました。 

日本人高齢者では性腺刺激ホルモンの生理活性型ヘテロ二量体が女性で高いことが示されましたが、βサブユニット単独では差が出ない場合もあり、測定対象の違いが解釈に影響する可能性があります。一方で、本研究は検証したタンパク質の種類と対象人数が限られるため、他タンパク質やより大規模な集団での再現確認が必要です。 

SomaScanᵀᴹ Assayは、一度の測定で多数のタンパク質を幅広く調べられるため、従来法では評価しにくかった領域までカバーできる点が強みです。本研究では、長期凍結保存した血清でも、少なくとも一部のタンパク質で過去測定とよく一致することが示され、長期保存試料の解析への活用可能性が示唆されました。さらに、ホルモンの「α鎖とβ鎖が結合した生理活性型(ヘテロ二量体)」を直接定量できたことで、男女差の結果をより明確に示せた点も本研究の特徴です。 

COI:開示すべき利益相反はありません。 

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