バモロロンが示すミネラルコルチコイド受容体拮抗作用の臨床的エビデンス
de Vera A et al. Steroids. 2025 Nov;223:109689. doi:10.1016/j.steroids.2025.109689.

研究の背景と目的
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)では心臓の合併症が重要な課題です。本研究の目的は、DMD治療薬バモロロンが、体内の塩分・水分バランスに関わるミネラルコルチコイド受容体(MR)を「抑える(拮抗する)」作用を、人で示すかどうかを確認することです。
研究方法
健常成人30名を対象とした試験(LIONHEART)で、MRを強く働かせる薬(フルドロコルチゾン)を投与したうえで、バモロロン、比較薬のエプレレノン、無治療を比較し、尿中Na⁺/K⁺比などを評価しました。加えて、DMD男児を対象とした試験(VISION-DMD)の血清を、SomaScan™ Assayで約7,289種類のタンパク質として網羅的に測定し、MR関連タンパク質の変化を事後解析しました。
結果
LIONHEARTでは、MRが働くと起こる「ナトリウムをため込みやすい状態」により尿中Na⁺/K⁺比が低下しましたが、バモロロンはこの低下を打ち消し、MR拮抗作用を示しました。効果のピークは投与後4~6時間で、約10時間まで確認されました。さらに、ナトリウムの「ため込み」は抑えられた一方で、カリウム排泄が減ったことを示す所見はなく、電解質面での安全性が示唆されました。VISION-DMDの血清解析では、バモロロン6 mg/kg/日で、MR拮抗時に増えやすいレニンと、腎・心保護に関わるとされるKlothoがプラセボより有意に増加しました(Klotho約1.34倍、レニン約1.20倍)。また、カルシウム代謝に関係するFetuin A/Bもバモロロンで上昇し、プレドニゾンでは同様の増加が見られにくい結果でした。
考察
尿の指標(LIONHEART)と血清タンパク質(VISION-DMD)の両面から、バモロロンのMR拮抗作用が人でも支持されました。DMDの心合併症に対して、抗炎症作用(別の受容体を介する作用)に加え、MR拮抗が上乗せの効果を持つ可能性が示唆されます。
SomaScan™ Assayを用いることで、血清中の多数のタンパク質を一度に幅広く測定でき、レニンやKlotho、Fetuin A/Bのような「薬の作用を反映しやすい変化」をまとめて捉えられました。本研究におけるSomaScan™ Assayは、MR拮抗を示す「証拠の厚み」を血清タンパク質で補強する役割(事後解析によるバイオマーカー探索)として位置づけられます。
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