血液中の自己抗体から膠芽腫を見つける:新しい診断の可能性

Johannes Low Jun Wei, et al. Profiling of autoantibodies in the sera of glioblastoma patients. Immunotherapy 2024;16(16-17):1049-1056. doi: 10.1080/1750743X.2024.2390350. Epub 2024 Sep 12.

本研究は、悪性度の高い脳腫瘍である膠芽腫(glioblastoma)患者における血清自己抗体プロファイルを明らかにすることを目的としました。マレーシア国民健大(UKM)バイオバンクに保存された膠芽腫患者10例と健常者5例の血清を対象に、Sengenics社 i-Ome™︎ Protein Array(KREX技術)を用いて1,600種類以上のフルレングスかつ正しく折り畳まれた免疫関連タンパク質に対する自己抗体を網羅的に解析しました。

その結果、16種類の自己抗体が膠芽腫患者群と健常群の間で有意に変動していることが確認されました(raw p < 0.05, |log2FC| > 0.5)。特に、anti-COL4A3BPおよびanti-HSP90AA1が最も大きく上昇しており、さらにanti-GFAP、anti-TP53、anti-KRASなど腫瘍関連抗原に対する自己抗体の上昇も認められました。一方で、anti-SPANXN2、anti-HEXIM1、anti-NR1H2など3種類の自己抗体は低下していました。

遺伝子レベルの解析では、選択された抗原の多くは膠芽腫において高頻度の変異を示さず、例外としてKRASおよびTP53のみがTCGAデータセットで1.5%以上の遺伝子変化率を持つことが確認されました。

結論として、KREXベースのi-Omeアレイ技術は、従来の診断手法では捉えにくい膠芽腫患者の自己抗体シグネチャーを特異的かつ高感度に同定し、液体生検に基づく新しいバイオマーカー探索の有力な手段となることが示されました。本研究は、非侵襲的診断法や病態解明の基盤構築に貢献する成果です。