自閉スペクトラム症の重症度を血液から読み解く:新しい抗体と免疫の手がかり

Samia M Ltaief, et al. Dysregulated plasma autoantibodies are associated with B cell dysfunction in young Arab children with autism spectrum disorder in Qatar. Autism Res. 2024;17(10):1974-1993. doi: 10.1002/aur.3235. Epub 2024 Sep 24.

本研究は、カタールにおける2~4歳のアラブ人児童を対象に、自閉スペクトラム症(ASD)に関連する血中自己抗体とB細胞機能異常を解析したものです。100名のASD児と60名の健常対照群から採取した血漿サンプルを、Sengenics社のi-Ome™︎プロテインアレイ(KREX技術) を用いて1,609種類の自己抗原に対するIgG自己抗体を網羅的に測定しました。その結果、ASD群では16種類の自己抗体が有意に変動しており、さらに33種類の自己抗体が症状の重症度と関連していました。特に8種類の自己抗体の組み合わせは、ASDの重症度分類において高い診断精度(ROC-AUC 0.937)を示しました。

加えて、フローサイトメトリー解析により、ASD児では循環B細胞数および活性化B細胞の減少が認められ、自己抗体レベルと強く相関することが明らかとなりました。さらに、活性化ナイーブB細胞の増加や、重症ASD群での休止型ナイーブB細胞および移行型B細胞の増加が観察されました。パスウェイ解析ではMAPKシグナル伝達の破綻が示され、自己抗体プロファイルおよびB細胞機能異常との関連が示唆されました。 本研究は、KREXベースのi-Ome™︎アレイ技術 によりASD児の自己抗体プロファイルを包括的に描出し、免疫異常と病態重症度を結びつける新たなバイオマーカー群を提示した点で重要です。