新しい血液検査で自己抗体陰性の胆汁性肝炎を正確に診断

Zhi-Yu Zeng, et al. Anti-RPL30 as a novel biomarker for enhanced diagnosis of autoantibody-negative primary biliary cholangitis. World J Gastroenterol 2025;31(20):104891. doi: 10.3748/wjg.v31.i20.104891.

本研究は、自己抗体陰性の一次性胆汁性胆管炎(PBC)の診断を改善するための新規バイオマーカー探索を目的としています。著者らは Sengenics社のi-Ome™︎ KREX™免疫プロテインアレイを用い、正しく折り畳まれた1600種類以上のヒトタンパク質を網羅的に解析しました。その結果、RPL30に対する自己抗体(anti-RPL30)が最も大きな発現差を示す候補として同定されました。

研究デザインとしては、まずコホート1(PBC 5例、自己免疫性肝炎 5例、慢性B型肝炎 5例、健常者 2例)で探索的に免疫アレイ解析を行い、続いてコホート2(抗体陰性PBC 17例、抗体陽性PBC 45例、健常対照 20例)においてELISA検証を行いました。

解析の結果、anti-RPL30は受診者ROC曲線におけるAUCが0.853、カットオフ値0.0708で特異度100%、感度75%を達成しました。また、既知の自己抗体(AMA、AMA-M2、anti-gp210、anti-Sp100)と組み合わせることで、PBCの診断率は61.3%から79.0%へ有意に改善(p = 0.0489)しました。さらに、抗体陰性PBCにおけるanti-RPL30陽性率は96%と極めて高く、臨床指標(INR、MELDスコアなど)とも有意な関連を示しました。

以上より、i-Ome KREX技術は、従来では見逃されがちだった抗体陰性PBC患者において、新規バイオマーカーanti-RPL30の発見を可能にし、非侵襲的かつ高精度な診断法の確立に大きく貢献したと結論づけられます。