DMDにおける血清タンパク質バイオマーカー探索
Ikelaar NA et al. Nat Commun. 2025 Oct 13;16:9073. doi: 10.1038/s41467-025-64146-y.

研究の背景と目的
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)(※)は筋力が失われ、進行性の筋萎縮と運動機能低下を特徴とする重篤な遺伝性疾患です。進行を血液検査だけで予測する指標は不足していることから、本研究ではSomaScanTM Assayによる網羅的な測定を行い、運動機能や歩行不能などの臨床的マイルストーンと関連する血清タンパク質を探索しました。
研究方法
2施設に通院するDMD男児153人から約700検体の血清を集め、SomaScanTM Assayにより約7,000種類のタンパク質を測定しました。年齢とステロイド治療の有無を補正した統計モデルを用いて、歩行・上肢機能テストと、3つの臨床的マイルストーン(歩行不能、腕が上がらない、口に手が届かない)との関連を解析しました。
結果
筋由来タンパク質は年齢とともに減少し、脂肪・炎症関連タンパク質は増加しており、血液中のタンパク質の変化が病状の進行を反映していることが示されました。ステロイド治療については、MMP3やRGMAなどのタンパク質が治療の有無と関連し、これらの一部は治療中に高値となってリスク低下と結びつく可能性が示唆されました。運動機能・臨床的マイルストーンとの解析からは数百種類のタンパク質が関連し、その中でもRGMAやART3が歩行不能や上肢機能低下を予測しうる血清バイオマーカー候補として抽出されました。
考察
本研究では2つの国際コホートとSomaScanTM Assayを用いて、多数の血清タンパク質と年齢・ステロイド・運動機能・臨床的マイルストーンとの関係を体系的に示しました。特にRGMAやDLK1などは将来の機能低下を予測しうる候補であり、個々の患者の経過予測や臨床試験のデザインに役立つ可能性があります。一方で、ステロイド投与法や施設間の違いなどにより、結果の解釈には注意が必要です。
本研究は、SomaScanTM Assayは、SOMAmerと呼ばれるDNAアプタマーを用いて少量の血清から多くのタンパク質を同時に高感度で測定できる高スループット技術です。一度の測定で多くの情報が得られるため、DMDのような複雑な疾患で新規バイオマーカーを網羅的に発見し解析するうえで大きな利点があります。 現在、フォーネスライフ株式会社では、最大約11,000種類のタンパク質解析が可能なSomaScan™ 11K Assayも提供しています。
※デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)は、原因機序が不明で長期の療養を要し、有効な治療法が確立されていない疾患です。そのため「難病の患者に対する医療等に関する法律」に基づく指定難病に指定されています。指定医の診断書を用いて特定医療費(指定難病)受給者証を申請・認定されると、医療費助成を受けられます。
COI:開示すべき利益相反はありません。
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