年期の血漿プロテオミクスにより約20年後のフレイル予測の手がかりに

Liu F et al. Geroscience. 2024 Oct;46(5):5247-5265. doi: 10.1007/s11357-024-01219-8. 

研究の背景と目的 

フレイル(加齢に伴う体力低下)は高齢期に顕在化しますが、原因となる体内の変化は中年期から始まる可能性があります。そこで本研究では、中年期の血液中タンパク質を用いたプロテオミクス解析により、約20年後のプレフレイル/フレイルと関係するかを調べました。 

研究方法 

米国ARIC(Atherosclerosis Risk in Communities)研究の中年期参加者4,189人を対象に、血漿中の4,955タンパク質をSomaScanᵀᴹ Assayでプロテオーム解析しました。後年に判定したフレイル状態(体重減少・疲労感・活動量低下・歩行速度低下・握力低下の5項目により評価)との関連を、統計モデルで解析しました。

結果

年齢・性別・生活習慣・腎機能・既往歴などを調整した解析では、後年のプレフレイルに関連するタンパク質が12種、フレイルに関連するタンパク質が221種見つかりました(多重検定補正後)。 

フレイルと強く関連した例として、将来のフレイルリスクが低い側にNCAN、SEZ6L、IGFBP1、CNTN1など、リスクが高い側にFABP3、レプチン(LEP)、FABP4、FSTL3、HTRA1などが挙げられました。 

一方で、中年期BMI(肥満度)を追加で調整すると、多くの関連は弱まり、統計学的に残ったのはCNTN1のみでした。さらに、BMIとタンパク質の関係を詳しくみる追加解析では、「BMIが先に変化し、その後にタンパク質が変わる」方向の関連が強い傾向が示されました。41種のタンパク質が「中年期BMI→後年フレイル」の関係の約31.6%を統計学的に説明すると推定されました。  

経路解析では、炎症(急性期反応など)や代謝(PPAR、LXR/RXRなど)に関わる仕組みが関連している可能性が示唆されました。 

考察 

中年期の血液タンパク質プロファイルが、約20年後のフレイルと幅広く関連することが示されました。ただし肥満度(BMI)を考慮すると多くの関連が弱まったため、「特定のタンパク質が直接の原因」というより、肥満に伴う炎症や代謝の乱れが血漿中タンパク質の量(濃度)やその組み合わせ(タンパク質プロファイル)の変化として表れ、長期的にフレイルへつながる可能性が考えられます。 

本研究では、血漿中の約5,000タンパク質を一度に測定し、未知の候補も含めて探索する“網羅的スクリーニング”としてSomaScanᵀᴹ Assayが中核の役割を担いました。修飾アプタマー(SOMAmer)を用いて多数のタンパク質を同時に定量できる点が特徴で、従来の免疫測定と同等レベルの感度や再現性が報告されています。 

(注)本研究ではSomaScanTM 7K Assay(Version 4)が用いられていますが、現在、フォーネスライフ株式会社では、最大約11,000種類のタンパク質解析が可能なSomaScan™ 11K Assayも提供しています。 

COI:本論文の著者の一人はSomaLogic社の科学顧問(Scientific Advisor)を務めています。  

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